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患者さんにとって少しでも安心して受診できるように、クリニックの雰囲気などお伝えしていきます。
キレート鉄サプリメントはすぐにやめてください!!

メンタルの不調は鉄の不足を背景に起こっていることがよくあります(勿論、鉄だけではありませんが。)
最近は一般の書籍でも精神的な不調と栄養、鉄やビタミンBについてのアドバイスが書いてあるものがかなり増えてきています。しかし、書籍の内容も鵜呑みにすると健康被害につながるケースがあります。
メガビタミンには注意
特に「メガビタミン」と称するものには細心の注意を払ってください。
最近はご自身でサプリメントを海外から輸入して服用される方が増えてきましたが、ここは本当に注意が必要です。特に鉄のサプリメントについては当院でも健康被害が気になる患者様がかなり増えていますので、今日はブログでお伝えすることにしました。
私たち専門家はサプリメントには細心の注意を払います。メディカルサプリメントであっても効果の乏しいものや、品質管理が十分でないものも存在します。
メディカルサプリですらそういう状況です。世の中には一般の方々が買うことが可能なサプリメントも星の数ほどありますので、よっぽどの知識をお持ちでなければどのサプリメントが良い物で、どのサプリメントは避けたほうがいいものかを判断するのはとても困難なことだと思います。
個人輸入は特に気をつけて!
特に海外から個人輸入でサプリを買う場合はよっぽど気をつけないと健康被害が出ることもあります。
われわれのような専門家であっても、パッケージを見ただけでは良し悪しが判断できないこともよくあります。
サプリメントの適切な選び方については昨年12月のブログも参考にしていただければと思いますが、今回は特に注意の必要な鉄のサプリメントについてお話しします。
栄養素としての鉄の重要性はこれまでも何度かお伝えしてきましたが、鉄が不足しているから何でも鉄を摂ればいいというわけではありません。
「鉄不足=貧血」とは限らない
女性の場合は月経出血が避けられないのでどうしても鉄不足になりがちです。貧血までいっていなくても鉄はすでに貯蔵がほぼ空になっているという方は本当に多いです。少なくとも1日外来をやっていて鉄不足の患者さんが一人もいなかった、という日は開業以来1日もありません。
そのため鉄の補充は精神科、婦人科治療において必須のアプローチとなります。
通常、鉄欠乏性貧血の診断がついたときには、処方薬でも鉄剤が出ます。しかし、大半の女性は処方の鉄剤で胃が気持ち悪くなったり、便が黒くなった経験をお持ちだと思います。
これは処方の鉄剤は酸化鉄(Fe3+)と言って、腸粘膜での吸収がしにくい形をしているからです。これを知っている医師であれば鉄剤は必ず還元作用のあるビタミンCと一緒に処方してくれます。しかし知らない医師は胃が気持ち悪いと聞いて胃薬を出すでしょう。
アプリで使う鉄は3種類
さて、サプリで使う鉄は主に 2価鉄(Fe2+)、ヘム鉄、アミノ酸キレート鉄の3種類が存在します。
2価鉄は先ほど説明した処方の鉄剤をビタミンCで還元したものと同じ形です。ヘム鉄は血液中に含まれるヘモグロビンと同じ形をしたタンパク質に包まれた鉄です。
この二つは生理的に腸粘膜から吸収されるため、吸収の良し悪しはあったとしても滅多なことで鉄過剰などの害を起こすことはありません。
しかし、キレート鉄は危険です。腸での吸収経路が全く別になっており、ほぼ素通りでどんどん血液中に入っていってしまいます。
キレートとはアミノ酸が両側から蟹の爪のように金属を挟み込んだ形を言います。この形になっているとタンパク質、アミノ酸を吸収するのと似たような形で腸の粘膜を通過しやすくなります。
体が鉄だと認識せずにどんどん体内に取り入れてしまい、あっという間に鉄過剰になってしまいます。
過剰になった鉄は肝臓に沈着したり、腸で溢れた鉄は腸粘膜にこびりついて腸の粘膜細胞を壊したり炎症を起こします。
鉄サプリを飲んでから不調になって来院された患者さんたちの採血をするとフェリチンが異常高値になっているのに、全然貧血のデータが改善していないことがよくあります。
本当に危険です。
まとめ
もしこれを読んだ方で海外製の鉄のサプリを使っている方がいたら早急に服用をやめて栄養療法の専門医に相談されることをお勧めします。
ちなみに鉄以外の金属ミネラルサプリはキレートの形であっても大きな害は見られにくいと思います。これは例えば亜鉛は銅、カルシウムはマグネシウムなど、拮抗するミネラル同士でバランスをとっているからです。
ただし、何度も言いますが、海外から個人でサプリを納入する場合は保管や輸送などの品質保持に問題を抱えている場合も有りますので、その点は重々注意を払ってください。
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